不動産取引の際には、登記という手続きをおこなう必要があります。
言葉としては知っていても、どのような制度で具体的に何をしたらよいかわからない方も多いのではないでしょうか。
複雑な印象のある不動産登記について、その役割や費用をご紹介します。
不動産登記の役割とは?何故必要なのか
不動産登記とは、その土地や建物が誰のものであるのかを明確にするために設けられた制度です。
同じ建物が、複数の人へ売却されてしまったケースを考えてみましょう。
その場合はどちらが先にお金を払ったかではなく、先に登記をすませた人が正当な持ち主であると主張できるのです。
このように入手した物件の所有権を第三者へ主張するために必要であり、不動産売買の際には代金の支払いと同時に所有権移転登記をすませるのが一般的です。
不動産登記にはさまざまな種類があり、入手経緯に応じた適切な登記をする必要があります。
たとえば新築戸建を購入した際に必要なのは、建物表題登記、建物部分の所有権保存登記、土地に対する所有権移転登記です。
建物表題登記とは、土地や建物に関する情報が書かれている表題部を新たに作成することで、新築購入時から一か月以内におこなわなければなりません。
所有権については、土地は売主から買主へ移す移転登記、建物は新たに作成する保存登記をおこなう必要があります。
またほかにも、住宅ローンを組む際の抵当権設定登記や完済時の抹消登記、土地を分割した際の分筆登記などさまざまです。
建物表題登記以外には期限はありませんが、トラブルを避けるためにもなるべく早く手続きをすることをおすすめします。
不動産登記にかかる費用や必要書類とは?
登記には、登録免許税と、専門家に手続きを依頼する手数料が必要です。
登録免許税とは登記をするときにかかる税金のことで、不動産の固定資産評価額や住宅ローンの債権金額に決められた税率をかけることで求められます。
税率は登記の種類によって異なり、たとえば土地を売買したときにおこなう所有権の移転登記は1.5%、建物であれば2%とされています。
住宅に関しては2022年3月までは軽減税率が適用されるため、心に留めておきましょう。
また、通常登記の手続きは司法書士や土地家屋調査士に依頼することがほとんどです。
その費用は地域や事務所によりますが、目安として数万円~十万円ほどみておくとよいでしょう。
複数の見積もりをとって比較し、費用を抑えたい場合は自分で手続きをすることも可能です。
必要な書類は手続きによってさまざまで、所有権の移転登記であれば契約書、権利書、売主の印鑑証明書、買主の住民票、固定資産評価証明書、委任状などが求められます。
相続であれば戸籍謄本、建物表題登記ならば建築確認済証や工事完了引渡証明書など、多くの書類が必要となるため専門家に依頼するケースが一般的です。