売ったものの品質が契約した内容と違うときは、売主に責任が生じます。
不動産でも契約不適合責任を問われることがありますので、売却のときには気を付けましょう。
今回は不動産の売却を検討されている方に向けて、契約不適合責任とは何かについて、内容や注意点などをご説明します。
不動産を売却するときに知っておきたい「契約不適合責任」とは?
契約不適合責任とは、2020年の民法改正により、今までの瑕疵担保責任に代わって規定された制度です。
買主には、以下の5つの権利が認められます。
●追完請求
●代金減額請求
●催告解除
●無催告解除
●損害賠償請求
大きく変わった点は、「追完請求」があることです。
これは、品質が契約と違うときに、直してもらえる権利です。
たとえば、シロアリによる被害があるのに契約書に記載されていないときは、売主に修繕が求められます。
すると売主は、修繕費用を負担して、契約時に約束された状態に改善しなくてはなりません。
なお、これらの権利は特約で免責にすることが可能です。
その際は、免責にする内容について、契約書にきちんと記載する必要があります。
特約の内容として多いのは、通知期間を3カ月に設定するものです。
また、売主が個人でしたら、買主に代金減額請求権や損害賠償請求権を与えない特約を付けることが一般的です。
不動産を売却するときに売主が覚えておきたい契約不適合責任の注意点とは?
契約不適合責任は、特約を付けないと売主に対する責任が重い制度です。
ですから、契約書に免責内容をきちんと記載するように注意しましょう。
たとえば、通知期間に関する記載がないと、責任を問われるかもしれない状態が長期間にわたって続いてしまいます。
また、免責については部分ごとに記載しなくてはならないことも注意点です。
シロアリの被害があるのなら、「シロアリ被害に関しては一切の責任を負わない」と明記することが必要なのです。
他にも耐震基準を満たしていないなど、契約不適合に該当しそうな部分を細かく調べて、契約書にしっかりと記載するようにしましょう。
なお、住宅の状態をもれなく把握するためには、専門家にインスペクションをしてもらうことがおすすめです。