親子や親族の間で不動産をやりとりする代表的なケースとして、「相続」や「贈与」などがあります。
実は、この相続や贈与以外に「親族間売買」というのも、親族の間で不動産をやりとりする方法のひとつです。
そこで今回は、相続や贈与などとはちょっと違う、この親族間売買についてくわしく見てみましょう。
相続や贈与との違いは?不動産の売却方法である親族間売買とは
親族間売買とは、親子間や親戚間で不動産を売買することを指します。
相続や贈与との大きな違いは、金銭的対価を必要とする「取引」である点です。
定年後の親世代が住宅ローンの負担を減らすために、子ども世代に不動産を売却するケースや、先祖代々守ってきた土地を手放さなければならなくなったときに、他人ではなく親族に売りたいといったケースもあるでしょう。
親族間の取引の場合、通常市場の相場価格よりも安価で買えるイメージもありますが、不当な低価格で取引すると、贈与とみなされ課税されるケースもあるため、注意しなければなりません。
親族間ならではのメリットも多い反面、意外な注意点もありますので、親族間売買を考える際には、売る側・買う側ともによく検討してみましょう。
さまざまなメリットも!親族間売買での不動産売却におけるポイント
まず考えたいのは、売却価格です。
親族を買い手とする場合、利益目的ではないので相場より低い価格とするケースがほとんどでしょう。
しかし、相場価格よりも著しく低い金額で売買すると「みなし贈与」とされ、贈与税が課されることもあるため注意が必要です。
過去の判例などから時価の80%がボーダーラインの目安とされていますが、個人では判断が難しいため、不動産会社への査定依頼や相談も検討してみてください。
それ以外にも、気心が知れた親族なので安心して売買できる点や、支払い方法や引き渡し時期などの融通がききやすいといった点も、親族間売買ならではのメリットでしょう。
一方、親族間売買には、デメリットも存在します。
不動産売買で通常適用される税金の控除が受けられないケースや、住宅ローン審査がとおりにくいことが代表的な注意点です。
売り手が受ける「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」は、親子や夫婦間といった特別な関係では適用されません。
しかし、子どもの配偶者への売却であれば控除の適用対象となるため、誰を売却相手とするかについても慎重に考えましょう。
また、金融機関の住宅ローン審査にとおりにくくなるのは、重要な書類に不備があるケースが多いことや融資金が別の用途に流用される恐れによって、金融機関の審査が厳しくなるためです。
しかし、不動産会社に仲介を依頼すれば融資を受けられるケースも多いため、親族間売買でもプロの不動産会社に相談や仲介を依頼するのがおすすめです。