購入する不動産を探している際、住居などの建築が制限されている市街化調整区域の物件を見かけた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
以前は市街化調整区域においても建物が比較的自由に造れる制度がありましたが、現在はなくなっていますので、間違えないようによく確認しておくと良いでしょう。
今回は、かつて存在した既存宅地制度の意味などを解説します。
既存宅地制度の意味
既存宅地制度とは、建築が制限される市街化調整区域において、住居の新築や改築などを例外的に認めていた制度のことです。
以下の条件にすべて当てはまった場合、比較的自由に建築ができました。
市街化区域に隣接している
約50戸以上の建物が並ぶ地域内にある
市街化調整区域へ指定された際にすでに宅地だった
宅地利用のほうが先だったことについて知事の確認を受けた
いわば住居などの建物がなじみやすい一帯に位置し、地域の開発が制限される前から宅地として使っていた際には、建築の制限を受けない可能性があったのです。
以上が既存宅地制度の概要ですが、本制度は2001年5月18日に都市計画法が改正・施行され、5年間の経過措置を経て廃止されました。
そのため、現在では既存宅地制度を活用して住宅などを建てるのは難しいものの、建築許可を個別に受ければ市街化調整区域でも建物が造れます。
開発が制限されている一帯に何かを建てたい方は、建築の許可が下りるかどうかに注目すると良いでしょう。
既存宅地制度の対象とされる土地かどうかの確認方法
既存宅地制度の対象とされる土地かどうかを確かめたい場合、登記されている情報を確認するのが基本的な方法です。
確認したいのは土地の用途と日付であり、基準とされる年月日以前の日付で「宅地」とされていることが重要です。
基準日以前の日付で宅地になっていれば、該当の不動産は早くから住居の敷地として使われていたと証明されます。
基準日とされる年月日は各都道府県によって異なりますので、個別にご確認ください。
あわせて、登記に関する日付のどれが基準とされるのかも注意が必要です。
「登記の原因日」や「登記の日付」など年月日を示す情報は複数あり、どれが基準とされるのかもケースバイケースですので、あわせて確かめないといけません。
以上の方法では確認がとれなかった場合、各都道府県によっては以前作成された航空写真や固定資産課税台帳などを使って判定をおこなう場合もあります。
登記された情報だけで判断できない場合も諦めず、そのほかの確認方法がないかあわせて調べてみると良いでしょう。